2002年5月の読書感想


書名 テラスで読む日本経済の原型
著者 原田泰
出版 日本経済新聞社(1993/01/22)
分野 その他

明治維新後から太平洋戦争が終わるまでの簡単な日本の経済史。
テラスという経済用語でもあるのか?と思ったら、ベランダの事だった。
リラックスして読めますよと言いたいらしい。
江戸時代に参勤交代のために道路網が整備されていたことが、明治維新直後の経済成長 には効果があったらしい。
それと、生活が苦しかったイメージがある割に1930年代序盤から中盤の経済成長が著しいのは、
重工業が拡張しているため数字上は経済成長しているように見えるが、
著しい人口増加により、イメージ通りに人々の生活は苦しかったらしい。


書名 クリプトノミコン 1
原題 CRYPTONOMICON(1999)
著者 ニール・スティーヴンスン
訳者 中原尚哉
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/04/30)
分野 SF

「第二次大戦前夜、プリンストン大学に学ぶ青年ローレンスは、数学
への興味を同じくする英国人留学生チューリングと出会う。やがて
彼らは、戦争の帰趨を左右する暗号戦の最前線で戦うことに……
それから半世紀、ローレンスの孫ランディもネット技術者として暗号
に関わっていた。彼は大戦との因縁深いある策謀に巻きこまれていくが!?
暗号をめぐり、二つの時代一一第二次大戦中と現代で展開される情報戦を描く
冒険SF大作」

裏表紙解説より

ニール・スティーヴンスンの長編は始めて読むことになる。
非常に読みやすかった。文章の内容を咀嚼し解釈するのに苦労しないのです。
4分冊の1巻目なので何も事件が起こっていないかに見えるため、
未だ特に感想はありません。


書名 銀河の間隙より
原題 ANYTHING YOU CAN DO(1963)
著者 ランドル・ギャレット
訳者 風見潤
出版 ハヤカワ文庫SF(1979/12/31)
分野 SF

「永遠の夜の闇を、銀色の船体が切り裂いていく、だが、その船腹には
黒ずみ紫色に変色した細長い亀裂が走り、その内部に仲間の腐肉を喰らい、
唯一人生きのびたナイプのみ。銀河の間隙よりやってきたこの宇宙船は今や
死にかけていたのた。しかし、一縷の希望があった。前方の太陽系、
そのなかの第三惑星にナイプは望みをかけたのだが……
人類の想像を絶する異星生命体ナイプの侵略にさらされた人々の脅威を、
潜伏したナイプに対処すべくその行方を追う人間たちの活躍を、
SFミステリの第一人者ランドル・ギャレットが、緻密な構成で鮮やかに描きだした
侵略テーマの傑作。」

裏表紙解説より
たった250ページできっちり終わらせるところかエライ。
ナイプと人類の不幸なファーストコンタクト物ですが、
双方自らの考え方のワクに当てはめて相手を評価することによって、
お互いに相手を下等種族だと判断するという。…なかなか読ませてくれます。
ナイプに対する人間側の切り札が改造人間ですが、ストーリーに関係なさそうな、
その改造人間の双子の兄弟の存在が、事件解決に重要なピースとなって
現れてきたのには、感心した。
不満点があるとすれば、ナイプの行動を観察することによってナイプの考え方を
あまりにも正確に推測できてしまっていて、それが問題解決につながっているところだろうか。
観察だけで一から百まで間違い無く推測できるんだろうかと思ってしまう。

この本が面白かった人は、ニーヴン&パーネル&アヴァロン&バーンズ著の
『アヴァロンの闇』を読むと良いと思う。


書名 死者たちの星域
原題 DEADMAN SWITCH(1988)
著者 ティモシイ・ザーン
訳者 野田昌宏
出版 ハヤカワ文庫SF(1993/06/15)
分野 SF

「銀河有数の金属鉱山を持つソリテア星系は正体不明の《雲》に覆われ、
通常の方法では進入することができない。
唯一の手段は死んだばかりの人間に操縦させることであり、
そのためソリテアを訪れる船は必ず死刑囚を二名乗せることになっていた。
この星系への運航免許を得たキャリロン社は、読心能カを持つ青年ベネダーを
惑星ソリテアに送りこむ。
だが、帰路に殺される運命にある女囚カランドラはまったくの無実だったのだ!」

裏表紙解説より

死んだばかりのゾンビの手が動き出して”デッドマン・スイッチ”(《雲》の中で宇宙船の動力を起動するスイッチ)を押して、宇宙船を操縦し始めた時には、
正気か?、ザーン、『ニューロマンサー』が発表されてから
4年も経過した1988年にもなって、こんな情けない設定で小説を書くなんて!。
と思いました。
結局ゾンビは宇宙人が動かしていて、ファーストコンタクト物となってゆくのですが、
それじゃ、何故操れるのか、何故宇宙船が動かなくなるかは最後まで説明されずじまいでした。
黙って設定を受け入れて読めってことですか?。ザーン、1988年にもなって…。
しかし……、許す、こんな恥ずかしい設定の小説を堂々と発表する、あなたの強心臓は貴重だ。
他の誰にこんなことができると言うのだ。(いっぱいいるかも?)


書名 稲妻よ、聖なる星をめざせ!
原題 CATCH THE LIGHTNING(1996)
著者 キャサリン・アサロ
訳者 中原尚哉
出版 ハヤカワ文庫SF(2000/03/31)
分野 SF

「ロサンジェルスの下町で、少女ティナの前に現われた奇妙な男オルソー。
なんとかれは、宇宙航行中の事故のため、はるか24世紀から現代アメリカに
迷いこんできたスコーリア王圏の王子だった。
ティナはふとしたきっかけで、オルソ一とともに陰謀渦巻く未来の宇宙へと
旅立つことになる。
よもや自分がスコーリアの命運を変える力を秘めているとも知らず……
未来世界へ飛びこんだ少女の愛と冒険を描く≪スコーリア戦史≫第二弾」

裏表紙解説より

今風のスペースオペラです、量子論とか出てきてなかなかばかにできん、というか、
集中して読まなくては内容が把握できない設定が多いので、電車の中で読むには気が散って、つらい部分もある。
前作と比べて恋愛物要素がかなり強いので(その前作もロミオとジュリエットと言われてましたね)
最後の結婚の儀式が延々と続くあたりは、「もう、早く終われ」と思ったりしましたが。
このシリーズはスペース・オペラかとバカにせずに一回読んでみて欲しいと思う。


書名 アフターマン −人類滅亡後の地球を支配する動物たち−
原題 AFTER MAN()
著者 ドゥーガル・ディクソン
訳者 
出版 太田出版(1990/04/)
分野 SF

人類は環境に対し進化で適応するのではなく、環境を変えることで適応しようとしたため進化の袋小路に入りこみ、資源の欠乏と共に絶滅した。
人類の絶滅より5000万年後の地球に生息する動物達について著者が考察して執筆された本です。
一例を挙げればクジラは絶滅し、ペンギンより進化した種がその生態的位置を占めている。
司書の駄弁者さんからお借りして読んだのだが、無茶苦茶面白かったので、再再 版されたら欲しいかもしれない。
恐竜が絶滅してから6500万年後の地球には我々人類が生息しているのだが、さらに5000万年後の地球には人類の生態的位置を占める生物は出現していない、馬、クジラ、ライオンなど他の動物については、絶滅した後に代りの動物が生態的位置を占めるように進化しているにもかかわらずである。
DNAの繁栄という意味では、人類の生態的位置を代りに占める動物は必ずしも必要ではないかもしれない。
しかし、地球の外にDNAを広めるためには知性は必要なはずなのだ。
その意味ではディクソンの考えるアフターマンの世界での人類の滅亡は大きな損失だったと思う。
と書いたが、そういえば、星野宣之氏のマンガには 宇宙空間に種子を打ち上げる植物が少なくとも2例存在したのだった、宇宙へDNAを広げるために知性は必要でないかもしれないなあ。


書名 大魔王作戦
原題 OPERATION CHAOS(1971)
著者 ポール・アンダースン
訳者 浅倉久志
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/01/31)
分野 SF

「将軍がいった。「これは危険な任務だ。必ずしも志願しなくてもよいが,
任務の重要さだげは知ってもらいたい」
やれやれ,つまりいやおうなしに志願しろってことだ。
ぼく.米国情報部員マチュチェック大尉は,かくて天下分けめの大作戦にとびこむはめになった。
相棒はとびきりの美人,魔女のグレイロック大尉。
トロ一ルバーグを占領中のサラセン教主軍に潜入し,かれらの魔神を無力化するの がその任務だ。
連合軍の大反撃が成功するかどうかは,ぽくら二人の活離にかかっていた……
科学の代わりに魔法が発達したもう一つの地球を舞台に繰り拡げられる傑作冒険SF」

扉解説より

上手い設定だと思うのだけれども、中盤ちょっとだれた、最終話の、取っ掛かりで引っかかったのですが、その最終話が一番面白かったかもしれない。
魔法とはいっても余り便利じゃない、洗濯物を乾かすのに、服に魔法をかけて乾くまで庭を行進させるのはいいのだが、倒れないように注意を払っていなくてはならないのでは、洗濯竿に架けておく方が楽なのではなどと思ってしまう。


書名 折れた魔剣
原題 THE BROKEN SWORD(1954)
著者 ポール・アンダースン
訳者 関口幸男
出版 ハヤカワ文庫SF(1974/07/31)
分野 ファンタジー

「妖精.小人,悪鬼,巨人,そして他のあらゆる仙境の民が,多くの神々と共に
いまだこの地上に住んでいたころ−−イングランドの一豪族オルムの家に初の息子が生まれた。
魔女の呪いを受けていたその赤ん坊は,洗礼直前のある夜エルフの太守の手で彼らの世界へ連れ去られると,
人の目には伺い知れぬ華麗な魔法の国でやがて屈強な戦士へと成長していった。
彼スカフロクと,一方メルムのもとに残された販り換え子ヴァルガルドと.
あまりにも重い宿命のくびきを背負った二人の対決は
いつかノルンの三女神が紡ぎ出す生と死の糸を辿って,幻想郷に人間界に,
恋と憎しみ栄光と悲劇の一大英雄叙事詩を展開する!」

扉解説より

指輪物語の1巻と同じ年に発表された本なので未だ指輪物語風のファンタジー小説というジャンルが熟成される前の小説です。
ひねりも何もない真っ直ぐなファンタジーでした、素直すぎて百戦練磨のファンタジー読みの人は物足りなく思うのではないだろうか。
物凄く殺伐としているので、この殺伐さ加減には序盤は勘弁してくださいと思っていましたが、中盤以降は馴れてしまったのか。
これはこれでちょうど良くなった。
ストームブリンガーの原型みたいな剣が登場しますが(題名にもなっています)、解説によると、さらに原型となる剣が北欧神話に存在するそうです。


書名 銀河パトロール
原題 GALACTIC PATROL(1950)
著者 E・E・スミス
訳者 小隅黎
出版 創元SF文庫(2002/01/25)
分野 SF

「銀河系に跳梁する正体不明の宇宙梅賊ボスコーン。超兵器を操り襲撃を
繰り返す彼らに立ち向かうは、銀河文明を守るパトロール隊とその精鋭、
レンズマンである。新人レンズマン、キムボール・キニスンは決戦に赴くべく、
新兵器”Q砲”を搭載した最新鋭艦<ブリタニア>号で出撃する!
横溢する超科学アイデアと銀河系さえ瞬時に越える壮大なスケール。
スペース・オペラの金字塔!」

裏表紙解説より

雑誌への掲載は1937年とのことなので、太平洋の反対側では、こんな楽しい銀河を股にかけるSFが戦前から読めていたんですね。
高校生の時に読みかけて放り出した理由もわかったけれど、今は心が広くなっている ので大丈夫だ。
アサロなどの今風スペースオペラが67年あとに大丈夫かというと心許ないからなあ。
そりゃ現時点ではアサロの方が面白いけれど。
訳者の後書きを読む限りでは、作品世界を紹介した「3惑星連合軍ってやつが面白そうだと思いました。


書名 闇よ落ちるなかれ
原題 LEST DARKNESS FALL(1941)
著者 L・スプレイグ・ディ・キャンプ
訳者 岡部宏之
出版 ハヤカワ文庫SF(1987/08/15)
分野 SF

「アメリカの若き考古学者マーティン・パッドウェイは、稲妻に打たれた瞬間、
20世紀のローマから西暦535年の古代ローマにタイム・スリップしてしまった!
そこは生きるに難しい時代だった。
精神的不安に由来する各宗派間の陰惨な対立抗争、織烈化の一途をたどる領土紛争、
帝国崩壊後の口ーマは、まさに西洋古典文明の黄昏を迎えつつあったのである。
この暗澹たる暗黒時代の到来を食いとめんと、かくてパッドウェイの獅子奮迅の活躍が
始った!彼は歴史のコースを変えるべく必死に生きた−−
闇よ落ちるなかれと願いつつ……。
歴史SFの巨匠ディ・キャンプの古典的名作!」

裏表紙解説より

1939年に雑誌に掲載された作品です、古代にタイムスリップしたという設定上か全く古さを感じませんでした。
20世紀に生きる人間としての知識で事業家として成功者の道を歩むパッドウェイですが、もちろんその道のりは平坦ではありません。
例えば、筆写に頼りきりの時代において、印刷技術の導入をすれば、成功間違い無しですが、印刷に要する設備、原料は全て0から用意しなければいけないのです。
そして、バッドウェイはある決断をします。
歴史を変えるようなことさえしなければ、彼はどう歴史が動いてゆくのか推定可能です、しかし、彼の知っている歴史から外れるようなことをしたら、未来は彼にとっても予測不能となってしまいます。
しかし、彼は歴史の改変に挑みます、人々のため中世の到来を阻むために行動を始めるのでした。

著者の博識があってこそ成立した小説。
昨年(2001年)に物故人となられた著者ですが、こんなに良質のSFを書いていたのかと認識を新たにしました。


書名 タクラマカン
原題 A GOOD FASHIONED FUTURE(1999)
著者 ブルース・スターリング
訳者 小川隆、大森望
出版 ハヤカワ文庫SF(2001/01/31)
分野 SF

「タクラマカン砂漢に発見された、秘密宇宙基地と推測される巨大施設−−
軍に雇われたふたりの登山家が潜入偵察におもむいたその場所には、
自己進化を続ける奇至なロボットの群れ、そして巨大な陰謀が待ち受けていた……
ヒューゴ賞、ローカス賞の二冠に輝く表題作ほか、同じ世界を舞台にした「ディープ・エディ」
「自転車修理人」など、俊英スターリングが近末来の社会を比類なき想像力で
描きだした七篇を収録する傑作集」

裏表紙解説より

巻頭の「招き猫」巻末の「タクラマカン」が良かった。
スターリングの描く近未来はいかにもありえそうといった感が強く、そこが魅力だと思う。
その中でも私が良かったと感じた2篇はちょっとあり得なさそう感がある程度強く。
その意味で、私はスターリングの良い読者ではないのかもしれない。



書名 SF入門
編者 日本SF作家クラブ
出版 早川書房(2001/12/21)
分野 SF関係

ブックガイト的な面や、SFに関する基礎知識、といった面よりも、SFの歴史や在りかたについてに重点がおかれた感のある入門書でした。
ブックガイト的な面や、SFに関する基礎知識に関しては同じ出版社から出版されているSFハンドブックがあるので、ちょうどよく棲みわけができていると思いました。
個人的には各国のSF史が有り難かったです。
この本の欠点はといえば、表紙だと思います。
この表紙を見て購買意欲をかき立てられる人は数少ないのではないのでしょうか。


書名 神の剣、悪魔の剣 -ファンタジー日本神話−
原題 SWORD OF THE DEMON
著者 リチャード・A・ルポフ
訳者 厚木淳
出版 創元推理文庫(1979/10/21)
分野 ファンタジー

ストーリー自体はつまらないと思った、日本神話の登場人物が活躍するファンタジー としてのみ存在価値があると思う。
原題のSWORD OF THE DEMONとは草薙の剣のことだろうか?。
なぜ悪魔の剣?。


書名 黒曜石のなかの不死鳥
原題 PHOENIX IN OBSIDIAN(1970)
著者 マイクル・ムアコック
訳者 井辻朱美
出版 ハヤカワ文庫SF(1983/10/31)
分野 ヒロイックファンタジー

わずか1月の間にムアコック8冊目ともなると、ちょっと飽きてきたかなという感がある。(計算が合わないが実はこの本に関しては4月に読んでいます)
コルムの第2部や、エレコーゼの1巻と同じで呼び出されて、女に惚れて、そのために戦うっていう同じパターンだから、飽きた感も強くなったのかもしれません。
同じパターンでもそれぞれ読ませる作品に仕上げているのは、さすがだと思う。
ラストの剣と盃のシーンなど良かったと思うし。
良質のヒロイックファンタジーだとは思うけど、飽きたものは飽きた(←しつこい)
3巻を読む前にルーンの杖秘録の第2部を読まなければならないようなのでちょっと間を置こうと思う。


書名 ヒトラーの戦艦 −ドイツ戦艦7隻の栄光と悲劇−
原題 HITLER'S BATTLESHIPS(1992)
著者 エドウィン・グレイ
訳者 都島惟男
出版 光人社NF文庫(2002/04/15)
分野 軍事

装甲艦、巡洋戦艦を含めた第二次世界大戦中のドイツの戦艦についての本、7隻には含められない旧式戦艦にも言及されている。
ドイツの水上艦艇についての本を読むのは久しぶりなので、読む事柄ほとんどが新鮮で面白かった。
ドイツの大型水上艦は潜水艦と比べて役に立たなかったかもしれない。
しかし、それでもこの国の戦艦は不利な条件で持てる力を有効に使われた感が強い。
それと、イギリスが船団護衛に戦艦を投入していたことについて、「無駄なことを」と思っていたのですが、この本を読んでその策が有効だったことを知った。
交通破壊戦は潜水艦によるものばかりでは無いことを忘れていたわけでもないが、実感として感じた。


書名 終わりなき平和
原題 FOREVER PEACE(1997)
著者 ジョー・ホールドマン
訳者 中原尚哉
出版 創元SF文庫(1999/12/24)
分野 SF

「神経接続による遠隔歩兵戦闘体での戦いが日常化した近未来。
連合国は中米の紛争に対し、十人の精神が繋がりあって操作するソルジャーボーイ小隊
を投入し、絶大な戦果をあげていた。一方このとき人類は、木星の軌道上に
想像を絶する規模の粒子加速機を建造、宇宙の始まりを再現する実験に乗り出していた……。
名作『終りなき戦い』から20余年、巨匠が新たな角度から挑んだ傑作!」

裏表紙解説より

精神接続という技術によって、人間がどう変るか、学問の発達による人間の知識の蓄積の結果、人間をどう変えねばならないか。
SFでこそ扱えるテーマを扱った小説です。
「強制的に変えられてたまるか」とか「そううまく計画が運ぶものか?」とか思ったりもするが、ストーリー自体は面白い。
クラークの「幼年期の終わり」を始めとして、人類の変容というテーマの小説はSFにおいて何人かの作家が扱ってきた、これはホールドマンによる一つの回答です、読む価値はあります。
それと、著者の代表作「終わりなき戦い」とはストーリー的には連続性はないが、著者の訴えたい点において連続性があるとのことですが、その点については、私自身はどう共通点があるのかは、判りませんでした。

余談になりますが、「神経接続による遠隔歩兵戦闘体」というものはどれだけ有効なのだろか、確かにこの小説では神経接続自体が危険を伴い、そのために実際に現地で人間が戦うよりも大きな人的消耗を蒙っていると記述されているため、割に合わないことになるが。
それでは、精神接続による危険がほぼ無きに等しいと仮定したらどうだろうか。
その場合、人に及ぼされる危険は0になる、我が身に危険なく戦争できるのだ、バンザイ。
しかし、国や軍隊が人に対しそれほど優しいものだろうか?。
例えば、太平洋戦争中、米国軍は自軍の兵士の命を大事に扱っていた、それは日本軍と大きな対照をなしている。
しかし、その兵士の命を大事にしたというのは、人命を大事にしたからであろうか?。
日本軍の場合、兵器よりも兵士の補充が容易であったと考えた結果、兵士の命を粗末にしたのと同じ考え方で。
米国軍の場合でも大事にしていたのは消耗品としての兵士が、同じく消耗品である武器よりも補充が困難であったからにすぎないのではないのだろうか?。
この小説に登場する「神経接続による遠隔歩兵戦闘体」のコストパフォーマンスは恐らく恐ろしく低いだろうと思う。
そうであった場合この小説のようにこの兵器が普及するであろうか、普及はしないだろう、軍隊は補充の容易な生身の兵士を使い捨てすることを選ぶのではないだろうか。


書名 動物化するポストモダン −オタクから見た日本社会−
著者 東浩紀
出版 講談社現代新書(2001/11/20)
分野 ノンフィクション

著者がSFセミナーにゲストで招かれていたので、SFと関係あるのかな?と読んでみたのですが。
ではこの本に書いてある事について、自分自身がどの程度興味があったかと、読み終わた後で自問自答してみると。
多少の興味はあれど知識欲は持たない程度であったので、読むだけ時間の無駄であったという結論になる。
この本が悪いのではなくて、私が選択を誤っただけです。

この本によると私の場合オタクの第1世代にあたるようだ。


書名 山手線のあやとり娘
著者 中井紀夫
出版 波書房(1992/05/30)
分野 SF

SFアドヴェンチャーに掲載された著者の短編を集めた短編集です。
この短編集の魅力はなんだろう?。
著者の別の短編集「山の上の交響楽」よりは世界の変さ加減ではかなり落ちると思いますし。
小説は上手だと思うのですが、私は必ずしもそれを求めてないし、私自身が上手な小説というものが何か判っていない。
あまり変じゃないけど、中井紀夫の小説だというところがセールスポイントということになるんだろうか。
何が良いのかはっきりしていませんが、この短編集は良い。


書名 グスタフ・マンネルヘイム
著者 植村英一
出版 荒地書房(1992/02/05)
分野 軍事

フィンランドは1939年にソ連に強引に領土を巻き上げられ(冬戦争)、1941年 には独ソ戦争に巻きこまれる形でソ連に戦争を仕掛けられた(継続戦争)。
バルト3国がソ連に強引に併合されてしまったように、フィンランドも国自体が無くなってしまっていても、少しもおかしくなかった。
マンネルハイムは政治家として、軍人としてフィンランドの国家の独立の維持のため、 おそらく最善の形で国を導いてゆく。
マンネルハイムの伝記なんてそうそうないので、読めること自体がありがたい。
梅本弘の継続戦争についての本「流血の夏」を読むにあたっての予習として読んでおけば良いのではないかと紹介を受けて、そのために読んだ。
「継続戦争」についての記述自体は簡潔で予習としての機能は十分果たしてくれるし、マンネルハイム自身についての人となりについては彼についての伝記だけあっておそらく「流血の夏」より詳しいだろう。
読む価値は充分にある。


書名 神々の糧
原題 THE FOOD OF THE GODS(1904)
著者 H・G・ウエルズ
訳者 小倉多加志
出版 ハヤカワ文庫SF(1979/06/15)
分野 SF

「もし生物が成長を止めることなくはてしなく大きくなっていけたら
それが少壮科学者二人の思いつきだった。やがて二人は異常発育促進剤
へラクレオフォービアを開発し、実験農場のヒヨコで試してみた。実験は上首尾。
だが、ふとしたことから異常発育促進剤がスズメ蜂や鼠などに食べられてしまった。
巨大なスズメ蜂が飛び交い、犬ほどもある鼠が人びとを襲いはじめる……
無制限に発展するテクノロジーヘの不安を描く名作」

裏表紙解説より
この科学者思慮が足らなすぎです、もう、たわけと表現する以外にどう表現すればいい?といった感じで。
管理はずさんである上に赤ん坊にへラクレオフォービアを与えたりするんですから、「お前、このでかくなった(というより巨大)子供の将来について、どうどう責任をとるつもりだ?。」

なぜ大きくなるかについて、そのメカニズムの説明がされてない当たりがヴェルヌとの差でしょうか。
とはいえ、初期の巨大化した生物が発生したことから起こる騒動から中盤の巨大化した生物が社会に混在して日常化する様子。
終盤の巨人達と在来の人達が共存するがゆえに発生する摩擦が災厄になってゆく様子など。
凄いよウェルズ、宇宙戦争だけの人ではなかったんだね(失礼)。

ホラーSFアンソロジーの「影がゆく」収録のオールディスの「唾の木」は「唾の木の エピソードの報告に触れたウェルズが「神々の糧」を執筆した」という設定になっている(と思う)のでこの本が気に入ったら「唾の木」を読んでみるといいと思う。


書名 戦闘機甲兵団レギオン
原題 LEGION OF THE DAMNED(1993)
著者 ウィリアム・C・ディーツ
訳者 冬川亘
出版 ハヤカワ文庫SF(1998/04/30)
分野 SF

SFとして4流だの、ミリタリーフィクションとして存在価値無しだの、罵詈雑言が口まで出かかっているのですが。
「戦っているだけじゃないか。」
こういう、単純な小説がないのは、それはそれで寂しいので、これでいいのか。
読みやすいので、退屈しのぎに読むのにはいいかもなあ。
しかし、他に読見たい本があるなら無理して読むことはないかもしれない。


書名 特集・本の雑誌2 ブックガイド編
編者 本の雑誌編集部
出版 角川文庫(1995/11/25)
分野 その他

本の雑誌に掲載されていた記事の再録本です。
再録本の上、現時点でこの本が出版されてから7年が経過しているので、相当古い記事の感はあるのですが、「がんばれSF」という特集記事が再録されているので読んだ。
この記事自体は、ここ10年でSF界に大きな変動があったわけでないので、特に大きく印象に残った点はありませんでした。
他には、ホラー、スポーツ、ミステリ、時代小説、恋愛小説、ギャンブル、夏目漱石、絵本などについての記事が再録されていました。
読みたい本が増えたらどうしようと思ったが、そんなこともなかった、かえって歴史小説、時代小説は読む価値なしと確信を持つに至った。


書名 垂直世界の戦士
原題 FAREWELL HORIZONTAL(1989)
著者 K・W・ジーター
出版 ハヤカワ文庫SF(1998/10/31)
分野 SF

「<大戦>後、過去の歴史がほとんど失われてしまった遥かな未来、
人々は<シリンダー>と呼ぱれる巨大なビルディングの内側の水平な床や外側の壁で暮らしていた。
上下にどこまでも続く外側の垂直世界では、いくつかの軍事部族が活動している。
部族同士で略奪や戦争をして金儲けをするのだ。
そうした軍事部族に戦士の飾りや軍用アイコンを提供する意匠師アクセクターの波瀾に満ちた冒険をいきいきと描きだす話題の長篇SF」

裏表紙解説より

この著者の本は始めて読む、この著者について持っている私のイメージとかけ離れている邦題ですが、そのせいで読む気になったのではないと思う、多分……。
難しいことを考えなければ、とても面白い小説でした。
主人公が苦難を乗り越え最後に原題どおりに「FAREWELL HORIZONTAL」になるところなど、おお、王道だぜといったところですが。
苦難を乗り越えるのが、アクセクターの知恵と機略によるものでなく、出会った人達の手助けによる所が大きい、というか、手取り足取りどうすれば良いか教えてもらっているところなぞ、やっぱり王道じゃないよ。
見も知らずの人に助けてもらえるなんて、なんて幸せな奴、うらやましー。
最後に「FAREWELL HORIZONTAL」な境地に至るアクセクターですが、「お前最初からさらば垂直よ状態じゃないか」といったところで、何も成長してないかもしれない、……、確実に王道じゃない。
構造物の壁に住むといっても、住むに必要な物資はアクセクターが軽蔑する水平世界のに生きる人が工場で生産しているんだけど、アクセクターよ、そこのところ判ってるのかい、わかってなさそうだなー。
王道じゃなくても、面白さは王道だから、読んでも損はしないと思う。


書名 運命の十年
編者 産経新聞編集部
出版 産経新聞社(2002/04/30)
分野 軍事

産経新聞に連載されていた記事を単行本にしたもの。
昭和6年の満州事変から昭和16年の太平洋戦争開戦までの、日本が破滅に向っていった10年のに関して複数の著者が執筆している。
高い、この巨大な活字でこのページ数で1200円は高すぎる。
私が、この費用対効果の恐ろしく悪い本を買ったのは、秦郁彦氏が盧溝橋事件を担当しているからです。
値段が高いことに目をつぶれば、文字数が少ないこともあり、昭和6年から16年までの日本の時代を概観するには良い本だと思います。
帯に書いてあった日本に他の選択肢はなかったのかという文字に騙された感あり。
日本の他の選択肢を探る本ではなかった。
あくまで歴史を概観する本でした。

この本を読みながら、私の脳裏を去来したのは過去の日本のことではなくて、これから日本はどうなってゆくのだろうということだった。
過去に日本が歩んだ政治の歴史が現在の日本を連想させて仕方がなかったのだ。
執筆した著者達がそういった書き方をしているせいもあるだろうけれども。


書名 サムライ・レンズマン
著者 古橋秀之
出版 徳間デュアル文庫(2001/12/31)
分野 YA

「シン・クザク別名≪サムライ・レンズマン≫。ニヒルな白皙は
日系アルタイル人の証。束ねられた長い髪。腰携えられた特製の日本刀。
彼は≪第2段階レンズマン≫の制服であるグレーのスーツに身を固めた
盲目の超戦士だ。あの生きた伝説のキムボール・キニスンの活躍により
撃滅したはずの、宇宙海賊ボスコーンの復活を察知したクザクは、
≪ドラゴンレンズマン≫ウォーゼルやヴァン・バスカークら、
お馴染みのキャラクタと共に新たな戦いへ挑んでいく!
俊才・古橋秀之が描く超宇宙大活劇!」

裏表紙解説より

「クザクよ、お前「ハラ切る、ハラ切る」とか言いながら、誰かに止めてもらうのを期待してんじゃないだろうな、だいたい、介錯を要求している所からしておかしいじゃねーか、レンズマンたるもの、介錯無しで、見事に切腹してみせろ、止めるな皆、やりたいならやらせてやれ、止めるんじゃねーよぉー」

途中で切腹にためらいをみてとれるために、クライマックスで死を恐れないと書いてあっても、本当かーと思ってしまう。
ずばっと、やってしまってくれていれば、そんなことも考えなかったろうけども。
(たぶん)レンズマンシリーズの重要人物たちを総出演、紹介しながら、一応ストーリーを作ってしまうのだから、著者は偉いと思う。
最初から2/3ほどは原作世界の紹介に終始しながらも面白いということは、原作世界の魅力に負うところが大きいのかもしれませんが、
面白いには変りないので、読んでみるといいかもしれません。


書名 メルサスの少年
著者 菅浩江
出版 徳間デュアル文庫(2001/01/31)
分野 YA

「ぼくの背中にあるふたつの瘤、それは出来そこないの翼のようだった−−
異形の遊女たちが、春をひさぐ<歓楽の街>メルルキサス。身ごもることが
出来ないはずの<メルサスの女>から産まれた少年イェノムは、ただひとりの
<街の子供>として育てられていた。彼の不満は十五になった今でも
子供扱いされること……。ある日イェノムは、世界支配をもくろむトネキシア商会
の魔手がらのがれて、この<螺旋の街>にやってきた少女、未来視をもつ
カレンシアと出会った。夢幻と冒険に満ちた異世界ファンタジー。」

裏表紙解説より
この著者の書く小説は自分には辛いところがある、イェノムにしても『雨の檻』(私の感想)に登場する少年達もそうなのだが、ひたすら純真すぎるのだ。
イェノムは「大人はきたない」というが、そのきたない大人になってしまった身からすれば、眩しすぎるのだ、読んでいられない。
とは言っても、そう感じさせてくれるのは良い小説の証拠だ、居心地の良い小説ばかり読んでいても仕方が無い。

この小説の文章が描き出す世界は、幻想感がある、幻想的なその世界に住む人達は、地に足がついている感がある、非常に良質なファンタジーだ、この本がデュアル文庫から再刊されたことを喜びたい。
ちょっとねー、イェノムが幼すぎるとは思うな、とても15歳の少年とは思えない、11歳ぐらいでちょうど良かったかな。


書名 紫電改 −三四三航空隊本土防空奮戦記−
著者 松田十刻
出版 幻冬者(2002/06/)
分野 小説

この書名を書店で見た時には、ついに出たのか?と思った。
碇義朗とヘンリー・サカイダが共同執筆中のはずの三四三航空隊の戦史がついに出版されたのかと思ったのだ。
手にとって違う著者であることを確認し、巻末の参考文献を見て、これは読んでも新たな知識を得られることはないなと、判断する。
まあ、それでも三四三航空隊の戦史本であることには変らなそうなので躊躇せず買った。
このサイトアドレスやメールアドレスを見てもらえば、判る人には判ると思うのだが、私は三四三航空隊に関係のある、ある人物をとても尊敬しているのだ。
電車の中で読み始める、後書きに「断っておくが、これは小説です」と書いてあるのが目に入る、多少脱力するが、新しい知識が得られないことは判っていたから、ショックは少ない、「まあたまには小説もいいか」
読んでみたところ、菅野直大尉にを主人公とする小説だった、間違いは散見されるし創作は膨大な量にのぼるが、大筋は史実を忠実になぞっている。
真面目に小説化にとりくんだことが見うけられる。
しかし、この本の存在価値はどこにあるのだろうか?。
そもそも、菅野直の伝記(『最後の撃墜王』碇義朗著)が存在し、かつ書店で買って読めるのにわざわざ小説を読む必要は全くないではないのか?。
かえって、この本の存在自体が害悪だとすら思える、この本のどこが間違っているか、どこが創作か判断できる者にとっては毒にも薬にもならぬが、判断できぬ者が読んだとしたらどうする、間違った知識を植え付けられるだけではないか?。
それがゆえに、著者も後書きで「小説です」と断っているのだが。
読むメリットがある読者層がいるとは思えない。
菅野直大尉と三四三航空隊に興味を持つ人は、この本を読まずに、碇義朗の「最後の撃墜王」光人社刊を読むのがいいと思う。


書名 クリプトノミコン 2 −エニグマ−
原題 CRYPTONOMICON(1999)
著者 ニール・スティーヴンスン
訳者 中原尚哉
出版 ハヤカワ文庫SF(2002/05/31)
分野 SF

4分冊の2巻目を読み終わった現在の感想は、なんか、つまんないんですけど……、あと2冊も読まなきゃいかんのか、フゥー。
第二次世界大戦中と現在の話が平行してすすむこの小説で、この巻は大半の舞台は第二次世界大戦中となっています。
しかし、この分野に関しては小説で読んでも仕方ないよな、というところが本音です。
やたらと読みやすいので時間的な損失は少ないのですが……。
それと、今後どうSFになってゆくのか、興味津々です、現状はSF臭は匂ってきていません。


書名 蒼海の尖兵8、9
著者 横山信義
出版 中央公論新社
分野 仮想戦記

太平洋戦争について扱った日本の公刊戦史、全102巻におよぶ戦史叢書ですら、その内容は概略を述べたものにすぎない、それほど、第二次世界大戦は巨大な歴史だったのだから著者に全てを把握するのを要求することは、無茶だと思う。
私も第二次世界大戦に関する知識はごく限られている。
しかしね、やっぱり気になるのだよ、私がたまたまある知識として程度知っている人物が登場して、この人物の人柄からいって、このように振舞わないだろうといった描写をされた場合には。
著者にしてみれば、適当に名前をピックアップして、操り人形として演じさせているだけなんだろうが、登場させる人物についてぐらい少しは調べる努力をしたらどうだい?。
と言いたくなってしまうのですよ。
著者にしてみれば、そんなこといちいち調べてられるか、といったところでしょうな。


書名 ジュラシックパーク 上、下
原題 JURASSIC PARK(1991)
著者 マイケル・クライトン
訳者 酒井昭伸
出版 ハヤカワ文庫NV(1993/03/31)
分野 SF

5年以上前となるが、ある友人から映画はくだらないが小説「ジュラシックパーク」は傑作だと教えてもらったことがあった。
だから、映画と小説はどう異なるかとても興味がありました。
予想とは異なり映画は小説を相当忠実に映画化しているなと思いました。
小説では、恐竜を復活させる手順をもっと詳しく描写しているのではないかと予想していたのですが、違いました。
多少詳しく説明させていますが、映画と同じく既に恐竜は復活した後で、復活させるにあたっての技術的困難などの経過は語られていませんでした。
映画だけで満足した方はわざわざ小説をよむ必要はないかもしれません。


書名 奇跡の大河
原題 THE DAY OF CREATION(1987)
著者 J・G・バラード
訳者 浅倉久志
出版 新潮文庫(1988/08/25)
分野 SF

「みずから望んで、砂漠化の進む中央アフリカの奥地に赴任した医師マロリーは、
憑かれたように灌漑計画にとりくんでいた。が、そんな彼を嘲笑うかのように、
突如、サハラ砂漠に巨大な川が出現する。マロリー川と名づけられたその大河を
殺すべく彼はあやしげなテレビ・プロデューサーとともに、水源を目指す奇妙な旅に
出発した……。『太陽の帝国』のバラードが放つ話題の最新長編。」

裏表紙解説より

今までに読んだ限りではバラードの小説に登場する主人公は狂信者ばかりだ、それが悪いとは言わないが、彼らの考え方はさっぱり理解できない。
この小説の主人公マロリーも河を殺そうとしたり、復活させようとしたり、何がしたいのか?。
そういった読み方は間違っているのだろうが、どう読めばいいのかわからない。
自然は偉大だ。






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